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日本の魅力再発見講座 伝統文化編レッスンレポート☆彡


通訳ガイドのライセンスを取得して10年の節目となる2019年の私の決意は 「茶道」を習得し、海外からのお客様に  過不足なく伝えることができるようになることです。そしてその誓いに、100%合致する講座のアシスタントに声をかけていただき、思い切って足を踏み入れました・・・その現場はモダンアートに囲まれthe TOKYO を見渡すウォーター フロントのタワーマンション。都内の大混雑した観光地とは浮世離れしたラグジュアリー空間です。

不思議なことに、そこには日本の伝統的な趣と、深い「道」に導いてくれる雰囲気が漂っていました。       講師は物腰やわらかで、多くの海外VIPの心を掴んで魅了する人気通訳案内士。

すっかり本気モードになった私は、彼女に茶道のイロハから、海外の方々に日本文化をどう紹介するか?を教わりながら、この講座を通して少しずつ日本の心を知りつつあります。

講座は毎回、一期一会を存分に味わえる時間を大事にしながら温かい雰囲気のなか進みます。参加者の人数は最高8人までで、一人一人に講師の目が行き届くよう設定されています。

もちろん英語が主体で講義はすすみます。私にとって、茶道の難解なバックグラウンドや歴史は、講師がわかりやすく英語で説明してくれることで、理解が深まっています。

「茶道」の作法の一つ一つの意味も、英語で表現することで、外国人の方に日本の心、文化、歴史、考え方、を理解してもらうことに繋がります。

茶道はわからないけど英語が得意な方、英語は得意ではないけれども茶道のたしなみはある方、英語も茶道も初心者、英語も茶道も上級者、など受講者はいろいろな状況の方が集まっています。どなたも毎回ステップアップができ、また理解が深まるように配慮しながら講師は講座をすすめています。

ですので、皆それぞれが毎回、一歩一歩自分の目標に近づいていくのを実感できます。

私も含め多くの日本人は、自分たちのすばらしい文化と歴史を知らない人が多いということも、今回の講座での発見です。

茶道は千利休が大成して・・という知識は義務教育中に勉強しました。しかしもっと深い歴史、そして茶道の一つ一つのしつらえや動作にこめられた深い意味を講座ではわかりやすく、また実際の動きの中で説明してくれます。普段私たちがお茶席体験する際は、茶道経験のない私は、お茶碗が出されると、「はい、二回回して、飲んで、最後にすすって、口をつけたところを拭いて・・」という流れを説明しますが、なぜそうするのか、何を楽しめばよいのか、お菓子を食べる作法はあるのか?等、よくわからないまま、やり過ごしていました。この講座ではそんな疑問を一気に解決してくれ、茶道を全く知らない外国人への説明をスマートにできる技量が身につくように設定されています。

さらに、お茶をたてる、という私にとっては離れ業?も講座の目標なのですが、これもやってみると、一つ一つの動作に日本人のさむらい魂が込められていて、非常に奥深い世界であることが分かります。静寂な空間の中では、茶杓がお茶碗に触れる音、水の音、茶筅でお茶を点てる音も楽しみます。全てのお道具には、毎回特別な意味が込められており、動作は「日本のさむらい」をイメージするとキマルというアドバイスをいただき、実際やってみると、気持ちが戦国時代の侍に同化したような感覚に陥りました。「うん、私は日本人だ!かつては侍だったのかも?」と思った瞬間でした。「わび、さび」、をどう表現するかということがガイドのなかでも話題になります。これは日本人でもかなり難しいコンセプトですよね。しかし「一期一会」と同じく茶道からうまれたこの「わび」「さび」も茶道の流れを理解することで、ようやく自分の感覚と繋がりつつあります。「茶道」は一年やそこらで、習得できるものではないとわかり、正直落胆もし、気が遠くなりましたが、今この機会に恵まれてこの先の人生に幅と喜び、高潔さが加わることは間違いないと実感しています。自分の「得」のために行うものではなく、「徳」のために自分に磨きをかけるのが私にとっての茶道かな、と今の時点では感じています。

日本文化体験入門講座では茶道のみならず、着物着付け、風呂敷、折り紙・・など日本文化に関連する様々な切り口での英語講座も含まれています。島国日本が長い年月で育んできたすばらしい風習や伝統は、全世界がつながる情報社会のなかでは、置き去りにされ価値を顧みられないものになりがちです。ですが、講師の「すばらしい日本文化・伝統を外国人のみならず、多くの日本人にも伝えていく」という心意気のもと、毎回楽しく、え?そうだったの?という驚きとともに学んでいます。前回の風呂敷講座では、「真結び」という手品のような結び方を教えてもらい、以来私は、風呂敷ファン。もともと家に眠っていたたくさんの風呂敷をようやく活用し始め、お買い物、外出を楽しみはじめました。ガイド中にも風呂敷一枚バッグに忍ばせ、お客様に、風呂敷の効用を話すようになりました。

日本人だけど日本の事をよく知らない・・という方が多いと耳にします。自分で日本文化を理解し、英語で外国人に伝えられるようになれば、民間外交官としての小さいけれど大事な架け橋が生まれることと思います。そんな方が東京から、少しずつ広がっていけば、争いのない平和な世界に繋がるのではないでしょうか。あと残る2回講座、とても楽しみです。

レポート:小坂由起子